飛び系にはない打ちやすさ!
ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドは7番、シャフトは「N.S.PRO MODUS TOUR105」でフレックスSです。掲載数値はすべて実測値となります。
弾道を自由自在に打ち分けやすい操作性の良いヘッド性能だ
クラブ長さが37.06インチと標準的ですが、クラブ重量が412.8グラムと「やや重い」ので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが268万g・㎠と「やや大きく」なっています。
計測数値のみで推察するとドライバーのヘッドスピードが、「44m/s」くらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすくなっています。
ヘッド形状は前モデルからフェースが長くなっており、構えた時の安心感がありながら、全体的に小ぶりなヘッドとストレートネックが相まってプロモデルらしい精悍な顔付きです。
実際に試打したところ、前モデルから長くなったフェースとソールの幅が少し広くなったおかげで、プロモデルでありながらやさしさ感が増した印象を受けました。さらにリーディングエッジとトップラインが少し丸みを帯びている設計から、アドレスで球を包み込むイメージが出ています。
左から#5、#7、#9。ヘッド全体が小ぶりなサイズ感でありながら、丸みがあることでアドレスで難しさを感じない
試打シャフトは適度にしっかりしており、ダウンブローにも耐えてくれるハリがあります。リアルロフト角は32.8度設定で、最近の流行であるストロングロフト設定ではないので、フェアウェイのあるがままの状態からでも球は上がりやすく、小さいヘッドながら打っていてとてもやさしく感じます。
ソールのバウンス角が8.8度と米国メーカーらしく大きい設定で、ダウンブローに上から打ち込むスウィングと相性が良く、ソールの抜け感が良かったです。ラフやライの悪いところからでもボールにコンタクトしやすいはずです。
ヘッドが軟鉄系素材なことからインパクト音は低く、打感が軟らかく気持ちのいいフィーリングでした。
ネック軸回りの慣性モーメント(基準値:5500~5999g・㎠)が5141g・㎠とやや小さい設定なので、ヘッドの操作性が良くインテンショナルにドロー、フェードと弾道を操作しやすくなっています。
スピンもきちんと入り、キャリーが安定しています。ボールを上げやすく上からグリーンを狙い止めやすいので、モデル名に付いている“S“の文字通りスコアメイクに役に立ちそうなアイアンです。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年8月20&27日合併号「ヘッドデータは嘘つかない!」より