払い打ちのゴルファーと相性が良い
ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドは7番、シャフトは「N.S.PRO 950GH neo」でフレックスSです。掲載数値はすべて実測値となります。
ヘッドの慣性モーメントがやや大きく、打点ブレへのやさしさも備わっている
クラブ長さは37.0インチと「標準的」ですが、クラブ重量が417.3グラムと、軽量スチールシャフトが装着されていながらも「やや重い」ので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントは271万g・㎠と「大きく」なっています。計測数値のみで推察するとドライバーのヘッドスピードが45m/sくらいのゴルファーにとって、タイミング良く振りやすくなっています。
ヘッドはフェースが長くややグースネック、そして広いソールが特徴です。丸みのあるトップラインでアドレスではボールを包み込むようなイメージがあり、ボールをつかまえるイメージが出ています。

大きいヘッドと長いフェースで構えた時の安心感がある。左から5I(ロフト角22度)、7I(ロフト角28度)、9I(ロフト角37度)※ロフト角はメーカー表記
実際に試打したところ、アドレスではフェースが長く、ヘッドが大きく感じるので、特にティーアップしたショットで打ちやすそうな安心感があります。またスコアラインが長めなので、打面が広く感じられます。試打シャフトはしっかりしたフィーリングでインパクトの再現性もいい感じです。
リアルロフトが(7番アイアンで)28.3度とストロングロフト設定なので、アドレスでは6番のような感覚があります。スコアラインがフェース面のややトウ寄りに入れられているので、アドレスでフェースの少しトウ寄りにボールをセットすると構えやすいです。
フェース面を含むヘッド素材に軟鉄よりも硬い“ニッケル・クロムモリブデン鋼“が使われているので打感は硬く、ややインパクトの”パチン感”があり、フェース面の弾き感がいい感じです。
ソール面のバウンス角がやや小さいので、ダウンブローでターフを取るスウィングよりも、ターフをほとんど取らないスイープなスウィングのゴルファーと相性が良いでしょう。
フェース長が長く、重心距離も「非常に長い」ので、ヘッドの操作性を判断できるネック軸回りの慣性モーメントが大きくなっています。ダウンスウィングでヘッドの返りが緩やかですが、ボールがつかまるヘッド形状のおかげでバランスが取れています。
同等の飛距離性能を持ちながら、操作性の高い「ホットメタルプロ」もあるので同時に試打されて、自分にとって打ちやすい方を選ばれるといいでしょう。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年10月29日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より